歌詞、日本語訳を記載します。
3作目となるこちらのBGM動画の曲は、英語・ラテン語詞が多いです。
訳は逐語訳よりも意訳中心となっています。
厳密な意味よりもリズムや幻想的な雰囲気を重視しているため、ヴォカリーズ・造語・既存言語では意味を成さないセンテンス(ナンセンスパート)を含む曲も多いです。
01.理想郷を探して(Risoukyou wo sagashite)
I want to wander the world below,
Through hidden streets where no lights glow.
Like a mole, I roam the underground,
Where sunlight’s warmth is never found.
私は彷徨(さまよ)いたい、地面の下の世界を
灯りの届かぬ隠れた路地を
モグラのように、私は地下を巡る
陽のぬくもりなど知らない場所で
Each tunnel holds a different air,
A scent of life that lingers there.
Damp and heavy, the shadows stay,
But some of us are built that way.
それぞれのトンネルに満ちる空気は違う
そこに残る、命の残り香
湿って重たい影がとどまる
けれど、そんな場所が似合う者もいる
Let me drift where the daylight dies,
In secret halls where silence lies.
Every corner, every stone,
Feels like a place I could call home.
光が消える、その果てを漂わせて
沈黙が息づく秘密の広間で
すべての角、すべての石が
「ここが私の居場所」と囁いてくれる
Beneath the city’s restless feet,
I find a world that feels complete.
Among the echoes, I belong,
In tunnels deep, I sing my song.
街のざわめきの、足元の下
私が見つけた完璧な世界
響きの中に私は生きる
深いトンネルの中で私の歌を歌う
Through winding paths and hidden doors,
I walk the floors that time ignores.
The world above may never see,
But underground, I’m truly me.
曲がりくねった秘密の小道
時間から見放された床を歩む
地上で暮らす人々が決して知らない場所
だけどここでなら、私は本当の私でいられるのだ
【制作裏話】
このまま温暖化が進むと、いずれ夏は地下で暮らすことになるのかも…と思いつつ、地下街を渡り歩く旅人をイメージして制作した曲です。
02.私の世界の朝焼け(Watashi no sekai no asayake)
Quid me exspectat ultra hanc viam?
この道の先で、私を待つものは何だろう?
Caelum tam serenum et caeruleum,
manibus tangi posse videtur.
In procul arbor sola videtur.
空はひどく澄みわたり、
蒼く、まるで手を浸せそうなほど近い。
遠くに一本の木が見える。
Agri candidis floribus plenis undant.
Aura lenis genas meas tangit.
白い花で満ちた野原が、波のように揺れている。
やわらかな風が、頬をそっと撫でていく。
Nova iter inceptura sum,
In lucem incertam sed pulchram.
私は新しい旅路を歩き出す。
不確かでも、美しい光へと続く道を。
Cordis mei tremor parvus est, sed spes maior lucet.
Hic primus gradus in aeternum memorabitur.
胸は小さく震えているけれど、希望はより大きく輝いている。
この最初の一歩を、私は永遠に覚えているだろう。
【制作裏話】
「ノスタルジーと出発」をテーマにして制作。
雰囲気は今回の曲集でも一番気に入っています。
03.葡萄月の午後(Budouzuki no gogo)
※すべてナンセンスパート・造語で構成
【制作裏話】
高校の世界史の先生がたいへん不愛想なご老人だったのですが、授業の前後の雑談で、時々とても詩的な話をしてくれたのが記憶に残っています。
フランス革命の章に入ったとき、
「このとき使われた『革命暦』というのがあってね、一つずつの月の名前が綺麗なんだよね、うん」
と言いながら、黒板に個々の月の名称を書いてくれました。その中で特に記憶が残ったのがヴァンデミエール(Vendémiaire)=葡萄月でした。
自分が9月生まれというのもあり、「ヴァンデミエールの反乱」という歴史的出来事もあり。
のどかなメロディに秋の午後の作物の収穫風景を思い浮かべ、タイトルにしました。
04.泡沫に還る日(Utakata ni kaeru hi)
I long to live where the shadows sleep.
Down in the deep where the silence keeps.
No eyes to see, just drifting slow.
Where only the faintest lights can glow.
影が眠るその場所に、ひそかに暮らすことを夢見ている。
深い静けさに満ちた、底の底。
光さえわずかにしか届かない。
Among the waves, I lose my name.
A faceless fish with no need for fame.
A tiny joy, a fleeting bite.
Is all I need in endless night.
波間に揺れて、名も失う。
名誉も名声もいらない無貌の魚のように。
ささやかな喜び、一瞬のひと噛み。
果てなき夜、それだけで十分。
Let me fade in the ocean’s fold.
Where secrets linger and dreams grow cold.
A gentle life, so still and small.
In the deep ――I want it all.
海のひだに私を溶かしてほしい。
秘密が潜み、夢が冷えるその場所へ。
小さく静かな、この優しい命でいい。
深海でこそ ――私はすべてを欲する。
A breath held tight, a world unseen.
Beyond the reach of what has been.
A whisper drifts through water’s blue.
In silent dark, I’m born anew.
息をひそめて、誰も知らぬ世界。
かつての何も届かない彼方。
水の青い色味を彷徨う囁き。
静寂の闇に、私は生まれ変わる。
On shifting sand and ancient stone,
I find my peace, I drift alone.
The past and future out of sight.
I’m just a shadow in the night.
揺れる砂、古(いにしえ)の石の上に、
安らぎを見つけ、ひとり漂う。
過去も未来も見えないまま。
私は夜の影となる。
【制作裏話】
2作目「伝承ノ歌ノ旅」の3曲目と同コンセプトの曲です。
あちらは「人間から深海魚へ」ジョブチェンジを望む人の歌という解釈ですが、こちらは人魚から海の藻屑へ、何らかの代償として泡になって消えてしまう人魚のイメージです。余談:この曲のイラストを動画のサムネイルに採用した際、表情を見せることを重視して腕の先をフレームアウトさせた結果、遠目に見ると両腕が同化してマッチョな感じに見えてしまうのが残念でなりません(が、差し替えまではせず諦めました)。
05.天から降る旋律(Sora kara furu senritsu)
A lash from God fell from the sky,
Drifting down as the angels sighed.
It shimmered clear, a thread of light,
Landing softly, feather-light.
神様のまつげが空から落ちてきた、
天使のため息にのせられて、ふわりと舞って。
それは澄んだ光の糸、
羽のようにそっと地に降りた。
I took that lash, so pure and bright,
And shaped a violin from its light.
With every note, a dream would start,
Heaven’s music, touching hearts.
その光を、わたしは拾い上げて、
ヴァイオリンを作った。
一音鳴らせば夢が生まれ、
天の調べが心を包んだ。
With an angel’s song, the world found rest,
Cradled gently, truly blessed.
As sleep descended, calm and deep,
I wandered on, the bringer of sleep.
天使の歌が世界を眠らせ、
やさしく抱きしめ、祝福を注ぐ。
深く穏やかな眠りがおりてくるとき、
わたしは歩く——眠りを運ぶ者として。
Through silent towns and moonlit air,
I spread my gift with gentle care.
A lullaby on silver strings,
And peaceful dreams the nighttime brings.
月明かりの静かな町を抜けて、
そっとこの贈り物を配っていく。
銀の弦が奏でる子守唄は、
夜の夢をやさしく連れてくる。
From place to place, I softly roam,
A sleep merchant, far from home.
With God’s own lash, my violin sings,
And slumber falls on angel wings.
町から町へ、足音もなく、
わたしはさすらう、眠りの商人。
神のまつげから生まれたこのヴァイオリンで、
天使の翼が、まどろみを運ぶ。
【制作裏話】
このBGM動画シリーズの中では、民族っぽさ薄めの曲という気がします。
歌詞の内容は特に何のきっかけもない思いつきですが、スリープテック関連の動画をよく見ていたので、関係あるかもしれません。以下全くの余談:管理人は赤子の頃に夜泣きがひどく、母親を極度の睡眠不足に陥らせ、その末に2階の窓から捨てられかけたことがあります(もちろん当時の記憶はないので後から聞いた話)。たまたま起きていた伴侶が止めて事なきを得たそうな。
スリープテックが進化して、人の技術でこんな楽器が開発されることを切に願います。
06.水面の影に(Minamo no kage ni)
Utinam omnia aqua abluere possem.
願わくは、すべての水が、汚れを洗い流してくれますように。
Sicut fluvius ante oculos meos decurrens.
まるで目の前を流れていく川のように。
Ut nemo lacrimet, ut mundus purus maneat.
誰も涙を流すことなく、世界が清らかなままでありますように。
【制作裏話】
大半がナンセンスパートの曲です。
曲制作時の仮タイトルは「川の流れみたいに」でした。が、投稿直前になって某有名歌謡曲に似すぎていることに気づき、変更しました。
07.蒼月幻想曲(Sōgetsu gensōkyoku)
Koyoi wa, Blue Moon
Kanata e todoku kotonoha
今宵はブルームーン、
彼方へ届く言の葉。
Koyoi wa, Blue Moon
Kanata de yureru omokage
今宵はブルームーン、
彼方で揺れる面影。
Kioku no umi de
Sotto yurete
記憶の海で、そっと揺れて……。
【制作裏話】
1作目のBGM集を作っている段階で制作した曲ですが、試聴した当初は「なんかクセの強い妙なボーカル」と思ってお蔵入りになりかけていました。
が、しばし寝かせたのちに聴き直してみると、「このお囃子っぽいのがクセになるな」と評価が180度変わり、3作目に入れることにしました。
08.銀ノ河ノ聲(Gin no kawa no koe)
Lux aeterna, veniet cras
Hisakatano hikari
Asatsuyu ni nurete
永遠の光よ、明日来たらん
久方の光、朝露に濡れて
Namida wa yamie todoku
todoku made
涙は闇へ届く、届くまで
Lux aeterna, veniet cras.
Sitataru shizuku
Ayame saku toki
永遠の光よ、明日へと至れ
滴る雫、菖蒲咲く時
Inori no hikari……
祈りの光……
【制作裏話】
投稿時期がちょうど七夕シーズンだったので、七夕らしい日本語フレーズ入りの曲を作ろうとしました……が、いつの間にか和歌の枕詞を使う方向にシフトしていました。雰囲気重視の曲です。
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以上、【作業用BGM】遊想ノ曲ノ旅ーA Journey of Fantasies and Melodiesの歌詞と対訳でした。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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